新潟県天産誌を読む(6) さよなら博物学者

前回(5)では『天産誌』の博物目録をすべて斜め読みして、特に気になる箇所を取り上げてみた。これまでの5回で『天産誌』の編書、時代背景、関連人物、プロセスなどを見てきた。当初の予想以上に長くなってしまったので、最後の(6)では出版した後の時代について軽く触れて終わりにしたい。

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新潟県天産誌を読む(5) 目録ぜんぶ斜め読み

前回(4)では『新潟県天産誌』が完成するまでのプロセスについて調べた。今回(5)では『天産誌』に現れる動植物のリスト6600項目をざっと斜め読みして、気になる箇所をチェックしてみる。とはいえ浅学菲才の自分には見たことも聞いたこともない種類が大半なので、全部チェックするのは無理。よって特に目立つ種類のみに留める。コケ植物、昆虫類、貝類、菌類、鉱物、古生物などはほとんど読み飛ばしていることを予めお断りしておく。

なお併記している学名は、基本的に本文からそのまま引用しているので、現在の一般的な学名とは異なるものが多い点に注意。当時は学名の種小名を小文字で表記する習慣があまり定着していないようで、大文字始まりになっている種小名が目録のあちこちに見られる。

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新潟県天産誌を読む(4) 標本探しは千里を越えて

前回(3)では『天産誌』が生まれた時代背景について見てきた。庄内の博物学の系譜と新潟のオイルマネーが融合した場所にこの本が生まれたらしいことが分かった。今回(4)ではこの本が一体どうやって作られたのか、そのプロセスをなるべく具体的に推測したい。そして実際の行動を思い浮かべてみたい。

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新潟県天産誌を読む(3) 石油の匂いは地の底から

前回(2)では『新潟県天産誌』が作られた当時の時代背景について調べてみた。明治大正期は近代日本にとって荒削りな青春時代という雰囲気であった。今回(3)では中村正雄の周りにいた同時代の人々について調べてみたい。今回もまた国立国会図書館や各地の博物館や公文書館などのリンクだらけである。

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新潟県天産誌を読む(2) 雲の色と天の色

前回(1)では『新潟県天産誌』の編者・中村正雄について調べてみた。中村は大学や博物館などの研究施設ではなく、旧制中学校の博物教諭をしながら研究活動を続けていた。今でいう在野の独立研究者に当たるだろう。今回(2)では『天産誌』ができた当時の時代背景について、オンライン資料をあれこれ探し回りながら調べてみたい。

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新潟県天産誌を読む(1) 博物学者がいた時代

『新潟県天産誌』は新潟県で最初の近代的博物誌(自然誌)である。旧制中学校教諭を勤めていた博物学者・中村正雄(1867-1943)によって編纂された。県内に分布していた植物・動物・鉱物などを20年がかりで調査し、その結果を目録化した資料である。内容は約700ページに及ぶ。発行されたのは大正14年(1925)12月なので、今から100年近く前になる。

以下ではこの『新潟県天産誌』について、何回かに分けて時代背景、成立過程、目録の内容などを「読んで」みたい。素人の駄文に過ぎないが、戦前の博物学の雰囲気のようなものを感じて頂ければ幸甚。なお、以下の文章は基本的にインターネット上で見つかる公開資料のみに基づいている。(ユーザー登録が必要なサイトもあり)

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